本記事ではデジタルマーケティングツール導入を検討されている方向けに、現在のデジタルマーケティングの市場規模と内情、さらに、今後の成長予測と重要になるであろう要素を説明します。

現在のデジタルマーケティングの市場規模

マーケットシェアグラフ

引用https://www.shutterstock.com


IT専門調査会社 IDC Japanの2017年の調査によると、2016年の国内デジタルマーケティング関連ソフトウェア市場規模は、前比8.1%増の593億7,200万円とされています。また、Mordor Intelligenceはソフトウェア市場拡大の要因として、デジタルメディアの利用拡大を挙げ、デジタルマーケティングで非常に重要な役割を果たしているのは電子メールマーケティングであると論じています。デジタルメディアの利用拡大がどのように市場に寄与しているのか、また電子メールマーケティングがその中でどのような位置づけにあるのかということをもう少し詳しく見て行きましょう。

デジタルメディアの利用拡大と電子メールマーケティング

デジタルメディアには修正や保存が容易という利点と、さらにインターネットの普及に伴い情報を世界中の人々と共有出来るようになったこともあり、その利用は著しく拡大しました。
デジタル世代でない方もデジタルメディアに関して最低限のリテラシーを持たざるを得なくなってきているのが現状です。
マーケティングの観点から見ると、デジタルメディアは通常のアンケートなどと比べてより簡単に移り変わりの激しい需要を探ることが出来ます。
それらのデータを使用することにより、見込み顧客により効率的・効果なアプローチを行うことが可能となります。
これが、デジタルマーケティング市場拡大の主要な原因のひとつと言えるでしょう。

こうしたマーケティング市場の現状で重要な役割を果たすのが電子メールマーケティングです。
皆さんも登録サイトや購入履歴のあるサイトからマーケティングメールを受け取ったことがあるのではないでしょうか?
実は、電子メールマーケティングには40年もの歴史があり、アメリカの企業が400人ほどの見込み顧客に承諾なしで電子メールを一斉送信したのがその始まりです。
今で言えば完全にスパムメールですが、この電子メールは結果的に1,300万ドルもの利益を上げたとされています。そのように、電子メールマーケティングは、インターネットがまだまだ未熟だった時代からすでに存在したのです。

ネットが成熟した現在でも、電子メールマーケティングは重要なデジタルマーケティング手法のひとつです。
2016年に総務省が行なった調査によると、携帯やメールなどのコミュニケーション系メディアの利用項目別平均利用時間は、10〜20代においてはソーシャルメディアがトップですが、30代から上の全ての年代においてメールがトップになっています。このことから、電子メールは30代以上という広い世代今でも最も主要なつながる為の重要なチャネルであることが分かります。

また、現在では電子メールマーケティング自体も進化しており、マーケティングオートメーションなどのツール導入によって、より個人の需要に沿った電子メールマーケティングが可能です。
皆さんがサイトから受け取るマーケティングメールには、個人に向けたおすすめ商品やセミナー情報などが載っていると思います。これは、マーケティングオートメーションツールが顧客情報を収集し、自動で内容を選定しているのです。電子メールマーケティングが登場した当初のように、同じ内容のメールを無差別に送信するわけではありません。加えて、企業側は、送信したメールの開封率やクリック率を測定し、政策の指標とすることも可能です。

このように市場規模は拡大し、デジタルマーケティングツールの導入も進んでいますが、課題もあるようです。
上述のIT専門調査会社 IDC Japan の調査では、市場規模の大きさに関わらず、デジタルマーケティングツールを会社全体として使用している割合は1割ほどに過ぎないとの結果が出ています。「費用対効果が不明確」「他のマーケティングソフトとの連携が出来ない」といった声も上がっています。企業側としてはマーケティングソフトを十分に使いこなせる環境を用意することと、企業が抱える課題に適切なツール選びなどが課題と言えるでしょう。

アジアでのデジタルマーケティングソフト市場の広がり

ここで一度日本国内を離れ、アジアに目を向けて見ましょう。アジアにおいて日本は最大市場のひとつですが、別の観点から見れば他をリードしているとも言い切れません。
Mordor Intelligenceの調査では、アジア太平洋は、デジタルマーケティング市場において、今後最も大きなCAGR(年平均成長率)が予測されています。欧米でのインターネットの隆盛が徐々に波及して来ているからです。日本の他では、中国・インド・オーストラリアなどが現在の最大市場です。
しかし、日本も最大市場のひとつに名を連ねているとは言え、広告のデジタル比率においては、日本よりも比率が大きい国もあります。
例えば中国や台湾です。中国や台湾がそれぞれ6割、4割ほどであるのに対して、日本は3割にも達していません。さらに、eMarketerの予測では、2021年には、中国は7割を超え、台湾も5割を超えると予想されています。
このように、広告のデジタル比率という観点から見れば日本はむしろ遅れをとっています。これからアジアでマーケティングを行うなら当然のこと、国内で行う場合でも、今まで以上にデジタルマーケティングリテラシーの習得を促進していかなければ、いずれ他のアジア諸国に置いていかれる可能性があると言えるでしょう。

デジタルマーケティングの今後の成長予想

マーケットシェア予測している人

引用https://www.shutterstock.com


IDC Japanの調査によると、国内のデジタルマーケティング関連ソフトウェアの市場規模は、2016年~2021年を年間平均成長率6.8%で推移し、2021年には824億4,200万円に達するとの予想が立てられています。
こうしたデジタルマーケティングの広がりから考えて、よりパーソナライズした情報配信と、マーケティング効率化の傾向が強まることが予想されます。
こうした動向において、今後キーになるであろう要素とは何でしょうか?

IoT

IoT は今後デジタルマーケティングで重要になってくる可能性の高いインターネット活用手段です。
IoTとはInternet of Thingsの略で、モノのインターネットなどと訳されます。
インターネットとは元来パソコンとパソコンを繋ぐものでした。しかし、現代ではスマートフォンやタブレット端末でもインターネットに接続出来ますし、同様に接続可能なテレビやデジタルレコーダーなどのデジタル情報家電などが登場しています。
モノとは、そうしたパソコン以外のネット媒体のことです。身近な例でいえば、スマートフォンで録画予約するのもIoTです。このように、パソコン以外のモノをインターネットに繋げ、情報を伝達することをIoTと呼びます。

こうしたスマートフォンなどの媒体が登場すれば、当然IoTでのマーケティングも登場します。例えば、日本コカ・コーラ株式会社は、自動販売機とスマートフォンのアプリを連動させる「Coke On」というサービスを成功させています。自販機とスマートフォンを連動させて飲料を購入するとスタンプがたまり、ドリンクチケットと交換出来るという内容です。このように、IoTを活かすことで、よりパーソナライズされたマーケティングを行うことが出来るのです。

矢野経済研究所が2017年に行った調査によると、デジタルマーケティングソフト市場の拡大にはIoTが寄与しており、また、今後IoTはさらに進展し、データの種類や量が飛躍的に増加するとの予測が立てられています。
セキュリティの問題など課題はあるようですが、デジタル情報家電の増加やこうした調査結果から考えて、IoTがデジタルマーケティングで果たす役割は今後益々重要になり、IoTの成長とともにデジタルマーケティングの市場も広がりを見せるでしょう。

AI

AIの存在も、今後マーケティングで重要になってくることが予測されます。
AIとはArtificial Intelligence(人工知能)の略です。SF映画などでおなじみの、独りでに考えたり行動したりする、あのAIです。
マーケティングで用いられる場合は、見込み顧客の傾向や好みを分析し、適した広告を表示する、といった働きをしてくれます。
消費者が商品を厳しく選定する現代の状況において、顧客ごとにカスタマイズされたマーケティングを自動で行ってくれるので、その効果・効率には大いに期待が持てます。
事例としては、紳士服大手のはるやま商事がAI「SENSY(センシー)」を試験導入し、効果を測定しています。スーツブランドの会員に向けて、一部会員には購入履歴を元に「SENSY」が掲載商品を選定したDMを、その他の会員には従来通りのDMを送りました。結果、「SENSY」を使ったDMは、通常のDMに比べ、来店率が男性で15%、女性で12%も高かったということです。これはAIが非常に効果的に作用した例と言えます。AIはこのようにパーソナライズされたマーケティングを効率的に行ってくれます。
また、再び矢野経済研究所の調査を参考にすると、マーケティングソフトのベンダーも、分析時間の短縮やより個人に合わせたニーズ対応のために、AIの活用に積極的であるとしています。さらに、顧客行動予測などの機能も期待されているとのことです。
企業側がAIを使いこなせるか、費用面から見てどうなのか、といった課題は発生しているようですが、いずれにせよ、今後AIに対する注目度はさらに高まってくるでしょう。