完全無料の次世代RPA「マクロマン」リリース前の紆余曲折をご紹介いたします。
お時間があるときにでも、お読みいただければ幸いです。

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時は、2018年2月某日。
所は、神田神保町。株式会社エーアイエルの会議室。
開発部門、マーケ部門、営業部門の関係者が集まって、
自社開発中のRPAの商品名について、打ち合わせが行われていました。

開発部門はスマートさを、
マーケ部門はキャッチーさを、
営業部門は伝わりやすさを、それぞれの視点から案を出していきます。

しかし、正解がない打ち合わせは、往々にして長引くもので、さながら地獄の千本ノックの様子。
21時を過ぎたころは、参加者の脳味噌は豆腐のようにグズグズになっていました。

・・・誰が言い出したか、議事録が残っていないので定かではないのですが、
ネーミングをヒネりすぎた反動だったのでしょう。
原点回帰のド直球な発言が飛び出しました。

「やはり、RPAといえば、ロボット。ロボなにがしなネーミングが妥当だろう」
と。

そこからは、油を差したかのように、ロボうんぬんがどんどん飛び出してきました。
今思えば、早く会議を終わらせたかったのかもしれません。
しかし、参加者全員、新商品名を適当に決める罪悪感はかろうじて残っていたので、
ロボ助やロボ太郎ではあんまりだという意見は一致。
ド直球だけど、ほんの少しのエスプリ、みたいな、微妙なさじ加減を探っていました。

そんな中、マーケ担当が発言しました。

「ロドリゲス・・いや、ロボリゲスはどうだろうか!!」

おお。

夜中の会議室に、ぱあっと光がさしたようでした。

ロボリゲス。
ロボリゲス。

口の中で転がす響きもわるくない。
いや、むしろこれしかない。

キャラデザインもうっすら見えてくるようです。

満場一致で、RPAの商品名は「ロボリゲス」に決定しました。
決まってしまえば仕事は早い。

5月のビッグサイトで開催される展示会までに、
クリエィティブ制作を間に合わせる為、
ロボリゲスのバックストーリーの設定を話し合い、突貫でライティングしました。

ロボリゲス誕生秘話 

※これはフィクションです。実在の人物、団体とは一切関係ございません。

第一幕 闘技場

闘技場付き楽団のパソ・ドプレが鳴りやむ。
一瞬の間を置いて、万雷の拍手と歓声。

括目して見よ。
我らが英雄、トレーロマタドールの登場だ。

セニョールの中のセニョール。
その名も高きロドリゲス。

観衆が一斉に声を揃えて叫ぶ。

「オレ!!!」

爆ぜるようにゲートが開き、赤く翻るムレータめがけ、荒ぶる牡牛が突進してくる。

ギリギリまでひきつけ、スレスレで身をかわす。
英雄の華麗なコリーダに、ワーッと観衆がどよめく。

闘技場の興奮が、雄牛を益々いきり立たせる。

しかし、ロドリゲスは冷静だった。

初めて舞台に立って20年。
そう、彼は戦いに倦いていた。

英雄は想う。

俺は、自動化された人形だ。

「ロドリゲス!!」

ハッと我に返る。

一瞬、ムレータをデレチャソからナトゥラルに持ち替えるタイミングが僅かに遅れた。
しまったと思うと同時に、脇腹に角が突き刺さり、ブンと首の動きで宙に跳ね飛ばされる。

惨劇に、婦女子は失神し、男たちは慟哭する。

第二幕 英雄の死

ピッ ピッ ピッ ピッ ピーーーーーーーー

バイタルフラット。

嗚呼、もう二度と、英雄は目覚めることはないのだ。

肩を落とす医師団。

突如、ICUの扉がバンと開く。

「私におまかせください!」

登場する白髪隻眼痩身の男。

視力検査の記号のような形をした義手が、カチッと名刺をつまみ差し出す。

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国立スペイン工科大学(SIT)
アラカルトバイオロボティクス学部
オンデマンドヒューマンカスタマイズ学科
人材リサイクル研究室
Ph.D.
ホセ・ロレンッオ
lorenzo@sit.ac.sp
___________________

スペインが誇るサイボーグの権威が、英雄をよみがえらせるためにはせ参じたのだ!

全国テレビ中継のおかげだね!

第三幕 Yo, Robot

ひどい頭痛だ。
真っ暗で何も見えない。
喉が渇いた。
水が飲みたい。

「目が覚めたかね」

聞き覚えのない男の声。

「今日は、今年初めての夏日でね、細胞が腐り始める前に、急いで手術をしなければならなかったのだ。
 こうするしかなかったのだよ。仕方がないよね。
 ロドリゲス、いや、ロボリゲス君。

??何を言っているだ。
??一体何のことだ。

「かさぶたをはがすときは一気にめくったほうが痛みが少ない。
 私は、まどろっこしいことが嫌いな性質でね。
 それに何れ分かる事だからね。 いいかね。いくよ。

ベリッ!!
急に明るくなり、目が眩む。
白い壁に白いシーツ。どうやら病室らしいが。

 「ごたいめーん!」

さっきの男はこいつか。
こちらに向けられた手鏡の中には、
四角い箱に適当な目鼻を付けた、顔の出来損ないが映っていた。
 
ああ、そうか、俺はこの****に雑な手術されて、夏休みの工作みたいなザマになったのか。
俺は子供のころから呑み込みが早い。
そのおかげでマタドールにもなれたのだ。 

こんどの役目はロボットらしい。
良し悪しはともかく、退屈はしないで済みそうだ。

一流の男は、いつもポジティブシンキング。
だから、一流のロボットも、ポジティブシンキング。

「ナンカ、ヨクワカラナイケド、ガンバリマスハカセ!!」

「そうだね!!良いも悪いもリモコン次第だね!!ロボリゲスwwwゴメンww」

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斯くの如く、スペイン闘牛協会のバックオフィス業務の
72.83パーセントを自動化したロボリゲスは誕生したのである。

ロボリゲスは、雄牛に代わって、今も定型業務と闘い続づけている。

Fin

ここまで書き上げて、意気揚々と社長に提案したのですが、
「ロボリゲス」と発言した瞬間、秒で却下されました。

おしまい。